親鸞会を脱会した人(したい人)へ

宗教法人浄土真宗親鸞会を脱会した人(したい人)の為に、親鸞会とその教義の問題について書いたブログです。

顕正新聞論説の「新しい領解文」への批判が批判にならない件(顕正新聞2023年4月15日号)

顕正新聞2023年4月15日号1面

宗教法人浄土真宗親鸞会の機関紙・顕正新聞2023年(令和5年)4月15日号を読みました。
6月の降誕会へ向けての記事と、愛知県尾張会館が完成したという記事が掲載されていました。

今回、気になったのは論説「崩壊に向かう伝統教団」です。
本願寺派の「新しい領解文」についての批判を書いていますが、内容を読むと批判が批判になっていません。

親鸞聖人の教えの根基・三願転入を簡潔に示された「もろもろの雑行・雑修・自力の心をふり捨てて」も削除されている。大問題の文書である。(顕正新聞2023年4月15日号 強調は原文ママ

確かに、「新しい領解文」には「もろもろの雑行・雑修・自力の心をふり捨てて」はありませんが、そもそもこの箇所は「親鸞会が説明するような」三願転入を簡潔に示されたものではありません。

現時点での親鸞会での三願転入については、前回の記事にも書きました。ご存知ない方で詳しく知りたい方は参照してください。
shinrankaidakkai.hatenablog.com


親鸞会における「雑行・雑修・自力の心をふり捨てて」は、「まず雑行(諸善)をせよ」から始まります。
領解文は「雑行を捨てよ」ですから意味が全く異なります。

そこで、「雑行」の定義がそもそも親鸞会浄土真宗とは異なります。

親鸞会の定義する「雑行」

親鸞会で「雑行」の定義は、「自力の心でする善」とします。
ですから「善そのものが悪いのではなく、自力の心(悪い心)でする善であるから、雑行と嫌われ捨てよと言われる」とします。
したがって「捨てるのは自力の心であって、善を捨てよと言うのではない」とします。
また、「雑行が雑行と知らされるまで、自力の心が悪い心と知らされるまで善を実行しなければならない。

より詳しくは、以下の親鸞会公式サイトを参照
浄土真宗講座|雑行雑修自力の心とは、どんなものか|浄土真宗 親鸞会
「雑行捨てよ」と「修善の勧め」浄土真宗講座|浄土真宗 親鸞会公式サイト

このような「雑行そのものは善であるから行は捨てなくて良い、自力心さえ捨てればよいのだ。自力心が廃れば諸善は私を導いたものとして意味を持つ」というのは、浄土真宗ではありません。
これは浄土宗西山派善慧房証空上人の説明です。

法然聖人は、念仏一行以外を捨てよと厳しく選択廃立の教えを説かれたために、当時の聖道門の人から厳しい非難を受けました。
その後、善慧房証空上人は先のような説明を取りました。ただし証空上人は、諸行は念仏の中に収まっているものとして説明をしました。

そのことを、昔より法然は諸行の頸を切り、證空は諸行を生け捕りにしたとして当時の聖道門の人たちからの批判をかわしたと言われています。

浄土真宗親鸞聖人)の定義する「雑行」

正とは五種の正行なり。助とは名号を除きて以外の五種これなり。雑行とは、正助を除きて以外をことごとく雑行と名づく。(顕浄土方便化身土文類 (本) - WikiArc浄土真宗聖典註釈版P394)

ここでは、五正行以外の善を「ことごとく雑行」と言われています。

自力の心でするかどうかは関係なく「行そのもの(五正行以外の善)」が雑行と言われています。

法然聖人と同様に「諸行の頸を切る」と教えられたのが親鸞聖人です。雑行は、阿弥陀仏が往生の行として選び捨てられたものですから、捨てよと言われました。

証空上人は、諸行(諸善)は捨てなくてよい、自力の心を捨てればよい。としました。
親鸞聖人は、諸行(雑行)そのものを往生行、または往生に役立つものではないから捨てよと言われました。

ですから、蓮如上人は御文章で

されば自余の浄土宗はもろもろの雑行をゆるす、わが聖人(親鸞)は雑行をえらびたまふ。このゆゑに真実報土の往生をとぐるなり。このいはれあるがゆゑに、別して真の字を入れたまふなり。(御文章 (一帖) - WikiArc 浄土真宗聖典註釈版P1105)

もろもろの雑行を許す親鸞会が、領解文を解説しても元々解説になっていません。解説にならない解説で「新しい領解文」を批判しても、「暗天の飛礫の如し」です。闇夜に礫を投げるようなもので全く当たりません。

それよりも「崩壊に向かう伝統教団」とタイトルをつけて他者を批判するのは、自分自身の不安の表れではないかと思いました。

参照 論説全文

顕正新聞2023年4月15日号

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