親鸞会を脱会した人(したい人)へ

宗教法人浄土真宗親鸞会を脱会した人(したい人)の為に、親鸞会とその教義の問題について書いたブログです。

「特集『歎異抄』が巻き起こす風に乗れ!」と「巻頭言の悪人正機」を読んで思ったこと(親鸞会機関誌・顕真2022年1月号)

宗教法人浄土真宗親鸞会機関誌・顕真2022年(令和4年)1月号を読みました。

f:id:yamamoya:20220321141023j:plain
顕真2022年(令和4年)1月号表紙

今回の特集は、

歎異抄」が巻き起こす風に乗れ!第2報
歎異抄』に引かれ つめかける参詣者……4
花ひらく関東の解説講座
 『歎異抄』ブームに乗り、予約満席の会場も……6
 「ズーム設定」でつなぐ聞法の縁…………………10
(目次より)

でした。

全国から活動会員が集まる

12月に全国から活動会員が結集して、チラシ配りと会場での勉強会の開催を集中的に行ったようです。

千葉県・幕張メッセで行われた決起大会(12月1日)には、北海道から九州・沖縄まで全国から150名の精鋭が参加した。空前の『歎異抄』ブームに乗り、弥陀の誓願を1人でも多くお伝えしようと誓い合う。(P8)

ここから首都圏の各地の会場で「歎異抄勉強会」を行い、それにチラシ配りや会場スタッフとして各地の会員、講師が参加したようです。
以前は、各地の本部単位でのこのような活動はよく行われていました。しかし、2002年(平成14年)の支部長制度になってより、このような全国的に会員が集まって勧誘活動をするというのはほぼありませんでした。実に20年ぶりに全国の会員を一ヶ所に動員しての勧誘活動でした。

大規模なチラシ配りや新聞折り込みなどによって多くの参加者があったようです。
ただ、以前と違うのは次への案内方法でした。


ネットにいかにつなげるかの工夫

f:id:yamamoya:20220322160702p:plain
顕真より「ズーム設定」でつなぐ聞法の縁

会場で、LINEやZOOMの設定をして、親鸞会のオンライン講座へとつなげていくというやり方です。

コロナ禍で、いつまた外出規制がかかるかもしれない昨今、自宅でズームで仏法を聞けるサービスは、聞きたい人には願ってもないことなのです。
(略)
オフラインと、オンラインを両方生かしたハイブリッドな布教が、これからの法縁活動の主流になります。 (P11)

勧誘活動については、本当によく工夫を重ねていると思います。


ただ、そこまで熱心に「歎異抄が巻き起こす風に乗れ」と活動をしていますが、肝心の歎異抄について、今回の巻頭言に出てくる文章は首をかしげる内容でした。

巻頭言・悪人正機

f:id:yamamoya:20220322163115j:plain
顕真巻頭言

悪人正機
悪人正機の悪人は、三毒五欲の
煩悩で作る悪人ではない。
十方世界の逆謗闡提の極悪人
だったと照らしだされなければ、
絶対の悪は知らされない。

この「巻頭言」は、以前高森顕徹会長が著作や以前の顕真に書いたものを再掲載する形になっています。今回のために高森顕徹会長が書いたものではありません。

悪人正機は、歎異抄で有名になった言葉です。今回の顕真の内容にも沿ったものとして採用されたものだと思います。

歎異抄をひらく」の「悪人」との違い

ただ巻頭言「悪人正機」の文章は、高森顕徹会長の「歎異抄をひらく」とも違う内容となっています。

(現代語訳の本文)
煩悩にまみれ、どのような行を励むとも、到底、生死の迷いを離れられぬ我々を不憫に思われ建立されたのが、弥陀の本願。
悪人を成仏させるのが弥陀の本意だから、“助かる縁なき者”と、他力にうちまかせる悪人こそ、浄土へ生まれる正客なのだ。
(原文)
煩悩具足の我らはいずれの行にても生死を離るることあるべからざるを憐れみたまいて願をおこしたまう本位、悪人成仏のためなれば、他力をたのみたてまつる悪人、もっとも往生の正因なり。

(P51)

悪人正機の解説としては、この「歎異抄をひらく」の方が一般的です。
同じ「歎異抄をひらく」の第2部でも、この悪人正機についての解説があります。

人間はみな煩悩の塊、永遠に助かる縁なき「悪人」と阿弥陀仏は知り抜かれたからこそ“必ず救う”と誓われたのだ。(同P198)

こちらは、親鸞会色が強まったとはいえ、今回の巻頭言と違いまだ一般的な解釈の範囲にとどまっています。

今回の巻頭言では、「悪人」について「煩悩で作る悪人ではない」といい、「逆謗闡提の極悪人」であり「絶対の悪」だと書かれています。
歎異抄をひらく」「歎異抄ってなんだろう」にも出てこない表現です。

二階建て構造の親鸞会教義

親鸞会に入会したことのある人ならすぐに分かる事ですが、親鸞会の教義は二階建てになっています。今回の大規模勧誘では「歎異抄」を打ち出し、多くの人が納得するような話をしますが、親鸞会の中に入ると今回の巻頭言に出てくるような親鸞会独自色の強い教義が出てきます。

今回の巻頭言は、その独自色の強い教義が出ています。
「絶対の悪は知らされない」とありますから、親鸞会ではこの「絶対の悪」が知らされなければならないのです。しかもその「悪」は、「煩悩の悪」ではない「逆謗闡提の極悪」だそうです。

そんな「絶対の悪」は、「絶対の幸福」にならないと「絶対」に知らされないのでしょうから、それは言い換えれば「絶対に助からない」と言っているに等しいものです。


チラシや、書店にならべる書籍に書いていることと、実際に「救われたい」と思って聞いている会員が読まされる内容が違うのが親鸞会の二階建て教義です。

もし、2021年末から今年にかけてチラシをきっかけにこの記事にたどりついた方がありましたら、そっと画面を閉じて、親鸞会から離れることをお勧めします。