親鸞会を脱会した人(したい人)へ

宗教法人浄土真宗親鸞会を脱会した人(したい人)の為に、親鸞会とその教義の問題について書いたブログです。

宗教法人浄土真宗親鸞会(会長:高森顕徹)機関誌顕正新聞平成25年5月1日号を読んで思ったこと。特にタノム一念について

親鸞会機関誌顕正新聞平成25年5月1日号を読みました。
以下、思ったことを書きます。


4月に開催された親鸞会館での高森会長の法話は正信偈についてだったそうです。その部分の法友通信について書きます。

題名は

肝要はタノム一念(顕正新聞平成25年5月1日号4面、5面)

でした。

以下,法友通信より抜粋

自慢でなく「求道心」
 東京都 会員
(略)
逃げ回っている者を、追いかけ追い詰め、最後逃げ場をなくして摂取してくださる弥陀の本願、「誠なるかなや」と知らされる一念まで進ませていただきます。


想像超えた無上の宝
 特専部(公認会計士
(略)
いつどうなるか分からない火宅の世界に生きている身を凝視し、「聞思して遅慮することなかれ」の親鸞聖人のお勧めにし従って進ませていただきます。


一念の救いこそ本願の真髄
 大阪府 会員
(略)
この一念の弥陀の救いを知った親鸞学徒は、最後、命なくなるまで、あきらめてはいけないと知らされました。もし親鸞聖人の本当のみ教えに出遇っていなければ、「死んだらお助け」「いつとはなしに阿弥陀さまは救ってくださる」と聞き誤り、私の命はまた、流転を繰り返していたでしょう。
(略)
(顕正新聞平成25年5月1日号4面、5面より)

タイトルは「肝要はタノム一念」とありながら、法友通信には「タノム一念」の言葉は出ていませんでした。また、御一代記聞書に「たのむ一念のところ肝要なり」と言われた内容とまったく違う事ばかりが書かれていました。


法友通信を読んでよく目に付くのは、「知らされる一念まで進む」という、とにかく阿弥陀仏に救われる地点まで力いっぱい進むというものです。これはタノム一念の話ではありません。
もう一つは,「一念の弥陀の救い」とか、「死んだらお助けと聞き誤り」という「現在の救い」であるから時間を無駄にしてはならないというものです。こちらの場合も、「たのむ一念のところ肝要」といわれた御一代記聞書とは意味が異なります。

○「たのむ一念のところ肝要なり」は、「たのむ」が肝要。「一念だけが肝要」といわれたものではありません。

御一代記聞書では、以下のように書かれています。

一 聖人(親鸞)の御流はたのむ一念のところ肝要なり。ゆゑに、たのむといふことをば代々あそばしおかれ候へども、くはしくなにとたのめといふことをしらざりき。しかれば、前々住上人の御代に、御文を御作り候ひて、「雑行をすてて、後生たすけたまへと一心に弥陀をたのめ」と、あきらかにしらせら れ候ふ。しかれば、御再興の上人にてましますものなり。(浄土真宗聖典―註釈版御一代記聞書188)

http://goo.gl/RZ2bg

ここに親鸞聖人の教えられたことは「たのむ一念のところ肝要なり」と書かれています。親鸞聖人の教えられたところで最も大事なところは「たのむ一念」であるという意味です。ではこの「たのむ一念」とはどういうことかについて、続きの文章を読むと、「ゆゑに、たのむといふことをば代々あそばしおかれ候」と書かれています。そしてその「たのむ」について「雑行をすてて、後生たすけたまへと一心に弥陀をたのめ」と明らかにされたのが蓮如上人であると続きます。


ですから「たのむ一念のところ肝要なり」といわれた「肝要」なところは「雑行をすてて、後生たすけたまへと一心に弥陀をたのめ」というところになります。なぜなら「一念」だけが大事となりますと「ひとおもいで生死を離れる」というだけならば、「即身成仏」というものもあるからです。ただし、そのような修業が実際に実行できるかどうかは別問題ですが、教義として「現在さとりをひらく(言葉を変えれば生死を離れる)」というのは、親鸞聖人の教え以外にもあります。


そこで「雑行をすてて、後生たすけたまへと一心に弥陀をたのめ」とはどういうことかといえば、救われる為のいろいろな計らいや行いを捨てて、後生助けるぞと喚びかけられる阿弥陀仏の仰せに従いなさいということです。御文章にたびたび書かれている「雑行を捨てて弥陀をたのめ」といわれていることと同じです。


そういう意味で今回の顕正新聞平成25年5月1日号の「タノム一念のところ肝要」は、題名と内容が全くあっていません。


「たのむ一念のところ肝要」と御一代記聞書にあるのは、「雑行をすてて、後生たすけたまへと一心に弥陀をたのめ」が肝要と言われていることです。したがって「一念まで進むことが大事」と言われたものではありません。ただ今お前を救うといわれる阿弥陀仏の仰せに対して、あれこれ計らうことを捨てて、そのまま阿弥陀仏の仰せを聞きなさいと言われるのが、「タノム一念のところ肝要」と言われた御一代記聞書のお言葉です。

参照 親鸞会公式サイトでの上記の記事についてのリンク

肝要はタノム一念|親鸞会