前回のエントリーに引き続き、高千穂正史師(熊本市・仏厳寺前住職)の著作より、親鸞会会員の人に読んで頂きたい部分を紹介します。

- 作者: 高千穂正史
- 出版社/メーカー: 熊本日日新聞社
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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誤れる求道
昭和五十六年七月五日
昭和二十年七月一日の夜、熊本市は大空襲を受け、多くの方がなくなられた。
古くは関東大震災、そしてあの空襲の時、「南へ逃げろ」とか「こちらへこい」という指示を信じて、そちらへ逃げて死んでしまった話をいくつも聞いた。
別の方向へ逃げていれば助かっていたのに。
危機における指示は、大切なものであり、また恐ろしいものでもある。謝った指示を受ければ、かえって悪い状態になる。
人生における危機においても同じことが言える。苦しい時、迷っている時、自分や家族が重い病気にかかった時、その他いろいろの危機に直面した時、誤った宗教に救いを求めて、かえって不幸になった人も多い。
この季節になると思い出す釈尊のことば。
茅を掴みそこぬればその手を傷つくるごとくあやまれる求道は人を破滅にみちびくー法句経ー
仏教者でない証拠
昭和五十九年五月二十六日
自分の信じている宗教団体から、だれかが離れていくのは残念なことであり、何とかして思いとどまらせようと努力するのは当然なことでしょう。
問題はその方法で、「やめたら悪いことが起こる」と脅かしたりするのは言語道断であると思います。
仏教では無畏施といって、「すべての人々をおそれから解放し、安心を与える」ことが大切であると申します。
おそれを与え、人を不安に陥れるようなことを言うのは、仏教者ではない証拠です。そんな経段や人間の言うことを心配するこはありません。自信を持って、ご自分の信じられる宗教の道をお進みください。
病気のお子さまがいらっしゃること、お気の毒に存じ、大変だろうとお察し致します。
迷信にまどわされず、正しい方法で根気強く治療や看病を続けてください。そのご本人やご家族のつらい思いをなぐさめ、強く明るく頑張りぬく精神力を与えてくれるのが『正しい宗教』なのです。
「あやまれる求道は人を破滅にみちびく」のお釈迦さまのお言葉は本当だなとしみじみ感じます。