- 作者: 伊藤健太郎,仙波芳一
- 出版社/メーカー: 1万年堂出版
- 発売日: 2014/12/19
- メディア: 単行本
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「親鸞聖人を学ぶ」はどんな本なのかを、書籍の前書きから紹介します。
親鸞聖人の実像に迫るには、議論百出の歴史に踏み入るより、直筆の著作によるのが最短ではなかろうか。親鸞聖人の家系をはじめ結婚、流刑地での生活など、プライベートな面においては、ほぼ全てに複数の見解がある。それらを並べ批判するのは他に譲り、本書では親鸞聖人が何に悩まれ、どう解決し、その救いを明らかにされたかを解説した。
http://www.10000nen.com/?p=15509
史料の切片からの憶測ではなく、親鸞聖人の自著をよるべに、論理一貫した親鸞伝を世に問いたい。
当時の仏教界や権力者の動向など、歴史的背景を説明しながら、仏教の基礎知識も盛り込んでいる。やや専門的な議論を紹介したところもあるが、全体はできるだけ興味深く読めるように、エピソードは三〇二ページ以降に紹介してあるアニメ映画『世界の光・親鸞聖人』に依拠して、小説風にした。
(1万年堂出版 書籍案内「親鸞聖人を学ぶ」より転載)
ここで「史料の切片からの憶測ではなく、親鸞聖人の自著をよるべに、論理一貫した親鸞伝を世に問いたい」としながらも、「エピソードは三〇二ページ以降に紹介してあるアニメ映画『世界の光・親鸞聖人』に依拠して、小説風にした」とあるのが本書の特徴です。
親鸞聖人は、ご自身の身に起こったことについては殆ど書かれていません。極く僅かに、教行信証に、法然聖人のお弟子であったことや、選択本願念仏集を書写をゆるされたこと、流刑にあわれたことを書かれた以外は、御消息に長男の善鸞を義絶されたことくらいで、それ以外のことはほとんど書かれていません。
そこで、多くの研究者が親鸞聖人の自著にないことを「史料の切片からの憶測」として、恵信尼消息や、歎異抄などを始めとした史料から憶測する以外に有りませんでした。しかし、この本は最初から「アニメ映画『世界の光・親鸞聖人』に依拠して、小説風にした」と書いている通りで、親鸞聖人がどういう方で、どういう生涯を歩まれたのかは「アニメ映画 世界の光親鸞聖人」シリーズの文字起こしと、解説書のほぼ転載の内容となっています。
(チューリップ企画 アニメ紹介)
http://www.tulip-k.co.jp/anime.htm
浄土真宗アニメ映画『世界の光・親鸞聖人』予告編(第1巻・第2巻・第3巻) - YouTube
その証拠に、本書で親鸞聖人のエピソードを書いているページに、「史料の切片からの憶測ではなく、親鸞聖人の自著をよるべに」したところはほとんどありません。言ってみれば、宗教法人浄土真宗親鸞会の高森顕徹会長作「アニメ映画 世界の光親鸞聖人」こそが、「論理一貫した親鸞伝」と言っているに過ぎません。
まとめ 「親鸞聖人」ではなく「親鸞会作成のアニメ」をひろめる本が「親鸞聖人を学ぶ」
以上のことから、この「親鸞聖人を学ぶ」は
というよりは、「アニメ映画 世界の光 親鸞聖人(チューリップ企画販売)」宣伝の決定版!アニメ全六巻の内容と、親鸞会主催の仏教教室の内容がこの1冊で学べます。というのが実態です。
本当に親鸞伝を学びたい方は、他の本を読まれることをお勧めします。
このあとに、2冊紹介しますので、そちらをご一読下さい。
追記
またこの親鸞会作成のアニメ自体、現代では伝説と見なされている内容や、史実かどうか議論がある内容が多く描かれています。それは、歴史的研究の進んでいなかった数十年前の親鸞像でしかありません。60年前から高森会長が法話で話をしていた親鸞聖人の御一代話とほぼ同じです。論理一貫した親鸞像を世に問うと称しつつこの内容・構成では、羊頭狗肉と言わざるを得ないものです。
参照資料 親鸞伝を知りたい方へ
http://hongwanji-shuppan.com/item/detail.html?icd=978-4-89416-873-2
- 作者: 千葉乗隆
- 出版社/メーカー: 本願寺出版社
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見出しは、以下のようなものです。
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- 出版社/メーカー: 柏書房
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